風景ハンター 外輪山のすすき

自転車で走るとじっくり楽しめる、阿蘇ならではのさまざまな魅力的な風景。ちょっと立ち止まって、自分の足でも歩いてみたり、体験したりしてみませんか?

大草原に広がる金色の絨毯

秋の外輪山がみせる空とすすきの風景

 秋が深まるにつれ、ところどころで美しいすすきの景観を楽しめるようになりました。阿蘇外輪山でも、一面に広がるすすきの絨毯が見頃を迎え、見る人の心を楽しませてくれます。すすきはまたの名を”尾花(おばな)”といい、秋の七草のひとつに数えられています。ふわりと穂をたらして揺れる姿が、動物のしっぽに似ていることからそう呼ばれるようになったのだそう。たしかに、馬のしっぽのようでもありますね。

 またすすきは一般的に”茅(かや)”とも呼ばれ、人は古くからススキを、茅葺の屋根や、家畜の餌として、生活の中に上手に利用してきました。そんな人々に身近なすすきですが、その身近さゆえ、外輪山のすすきの風景も、阿蘇の自然が生み出した景観のひとつとして、見る人は感じ取るかもしれません。

 しかし、じつはこのすすき草原の成り立ちは、阿蘇の人々が古くから行ってきた『野焼き』文化によって生まれた、阿蘇独特の景観であることをご存じでしたか?。すすきの群生は一般的に、ほうっておけば雑木林となって、樹木が繁茂し、森林化という未来を辿ります。しかし毎年一回、一帯の野焼きを行う阿蘇地域は、草原への樹木の侵入を遠ざけることで、このような広大なすすきの景観が今もなお残り、人々の目を楽しませてくれるのです。

 外輪山のすすきを自転車で楽しむなら、ミルクロードはいかがでしょう。ミルクロードとは阿蘇の北外輪山の上をぐるりと囲んだ県道の愛称のこと。広大な牧野の美しくなだらかな地形をゆったりと走るこの道路は、阿蘇山、カルデラを一望できる大観峰や、そのほかの展望所が点在し、サイクリストたちに人気の高いコースとなっています。