自転車もん語り 薄井 良文さん第2回(全4回)

乗る楽しさ、駆け抜ける魅力。多くの人々を惹きつけてやまない「自転車」という存在。
これは、阿蘇という土地ならではの自転車の楽しみ方を、自転車好きのみなさんに語っていただきました。

人生は自転車と同じ
こぎ続けることで前へと進んでいく

薄井 良文さん あそBe隊 隊長

Yoshifumi Usui

薄井良文

消防士·山岳救助の隊員を経て「WakuWakuOFFICE」を発足。「あそBe隊」の隊長を務めるかたわら、あそBe隊楽団の代表、環境省自然公園指導員、阿蘇エコツーリズム協会理事、自然体験指導者 防災士 衛生管理者など、「遊び」と「自然環境」に関する様々な取り組みを行っている。


自分自身もPTSDで悩んでました

薄井さん レスキュー時代に、当然ながらご遺体を目の当たりにする事も多く、いたたまれない思いもたくさん経験しました。当時上司の教えの一つで、「見て慣れろ」と言われました。ですがそう簡単にできるものではない。救急隊員として一人でも多くの命を救いたい一方で、その教えと自身の心との間でどこかジレンマを感じていました。

 無事に救出できても怪我を負われた方や亡くなられたご家族で、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を煩う方も少なくありません。これは被災者のみならず救急隊員やそれを伝える報道の方でも起こりえることです。現に私自身も、救助活動を重ねていく中でPTSDを煩ってしまいました。この病気は本当に厄介で、強烈なショックを体験後、強い精神的ストレスが時間がたっても続き、ふとしたときに思い出して恐怖を感じる。その繰り返しで、なかなか出口の見えないものです。私は自身のPTSDと向き合いながら、同じように苦しんでいる方々に手を差し伸べられるような「心のレスキュー」ができたらと思うようになりました。そうすることで、私自身にとってPTSDからの成長にもなっていくんです。

自転車もん語り 薄井 良文さん第3回(全4回)へ続く。