自転車で走るとじっくり楽しめる、阿蘇ならではのさまざまな魅力的な風景。ちょっと立ち止まって、自分の足でも歩いてみたり、探検したりしてみませんか?

時代を超えて今に残る10基の古墳群

何気ない風景のなかに見るさまざまな古墳のかたち

 のどかな田園風景が美しい、阿蘇市一の宮町中通(なかどおり)。かつては“阿蘇郡中通村”というひとつの自治体でもあったこの地に、計10基の古墳で構成された中通古墳群はあります。写真は中通の北部、外輪山の麓の“小嵐山”から撮影した中通の風景。この中に4基の古墳が写っているのが、分かりますか?

 中通古墳群に見られる古墳は、墳丘の長さが10〜110m、高さ4〜11m、墳形が円形、前方後円形とあって、これらは5、6世紀ごろ、当時阿蘇地方を治めていた豪族“阿蘇氏”によって築造されたものといわれています。ただ、どれも近くからの眺めでは、ぽっこり盛り上がった自然の小山のように見えるだけで、それがかつての豪族が築いた人為建造物であることには、なかなか気づきにくいところかもしれません。しかしそういった意外性の部分も、思いもよらない感動が味わえる中通の古墳巡りの魅力です。

 古墳のひとつ、写真左側の“長目塚古墳”は墳丘長111.5mという熊本県でも最大級の規模のもの。熊本県指定史跡にも指定され、河川改修に伴った発掘調査では古墳の中から何点もの副葬品がでてきたのだそう。そのような貴重な古墳のひとつひとつを、地元の人は畏敬の念をもって守り、伝え、今日までにしっかりとした姿で残してきました。そんな阿蘇の遺産を、まずはぜひ“小嵐山”から眺めてみましょう。学術的な見地はひとまず置いてみても、この何気ない田園風景の中から浮かび上がってくる大小さまざまな古墳の発見は、ごくごく面白いものです。ぜひ気軽に、その目で確かめてみてください。