自転車で走るとじっくり楽しめる、阿蘇ならではのさまざまな魅力的ん風景。ちょっと立ち止まって、自分の足でも歩いてみたり、体験したりしてみませんか?
阿蘇早春の風物詩「野焼き」
1000年の時を経て受け継がれる
毎年2月から3月にかけ、阿蘇山一帯では早春の風物詩、野焼きが行われます。そのため山腹の草原は一変して真っ黒となり、そんな一年に一度の風景を見ようと多くの観光客が阿蘇へ訪れます。阿蘇一帯に広がる草原はたび重なる阿蘇山の噴火や降灰によってもたらされた側面を持ちますが、実は1000年に及ぶ、放牧、採草、野焼きという人々の営みの中で維持されてきた、歴史的人為産物。『日本書紀』の中でも阿蘇一帯は“野が広く遠く広がっていた”と記されているように、今日に残る広大な草原は1000年以上も昔から存在し、人の手によって受け継がれてきました。野焼きによって草原を定期的に焼くことは、枯れ草の除去、低木の成長の抑制、森林化の制御などに効果があり、野焼きを数年中断してしまえばその焼き火が猛火となって人間の制御ができなくなるため、毎年定期的に火を入れることが大切とされています。そしてその恩恵が今日、阿蘇の壮大な自然景観として人々を楽しませてくれます。
野焼きは均整のとれた山容で有名な米塚でも行われ、この時期ならではの真っ黒く焼けた米塚を眺めることができます。米塚は約三千年前に形成された典型的なスコリア丘。国内では最も均整がとれたもののひとつとされ、伝説では阿蘇の開拓神「健磐龍命」が米を積み上げて作った山として「米塚」と呼ばれるようになったのだそう。そして頂上の部分が少しへこんでいるのは、食べ物に困っていた人たちへ命がひとすくいのお米を分け与えたからなのだとか。くぼみの直径は100m、深さが20mと、遠方からの見た目以上に大きなもの。草原が広がる時期には南斜面に「土塁」が見られ、かつて米塚一帯でも放牧が行われていたことを物語っています。山容はまるでお椀を逆さにひっくり返した、どことなくもこもことした、かわいらしげな雰囲気。その姿の魅力に、野焼きの季節には多くのカメラマンが米塚に訪れて年に1度の貴重な瞬間を今か今かと待ちわびます。野焼きしたばかりの米塚は真っ黒ですが、1ヶ月もすればこの景色が嘘のように青々とした草原へ変わって、阿蘇に新緑の春がやってきます。
2024年野焼き日程
草千里
2/24㈯ 10:30~ 予備日 3/2㈯,3/9㈯以降は平日に順延
阿蘇山麓(五岳一帯)
2/25㈰ 9:00〜 予備日 3/3㈰,3/10㈰,3/17㈰,3/20㈬㈷,3/23㈯
北外輪山一帯
3/3㈰ 9:00~ 予備日 3/10㈰,3/17㈰,3/20㈬㈷,3/23㈯
※当日は周辺の道路で交通規制などが実施されます。
※牧野沿い道路での駐停車や牧野内には立ち入らないようにお願いします。
※天候等により延期になる可能性があります。